いよいよ今晩からマスターズが開幕。今年はなにかと話題が豊富な年になっています。ここに来て注目され始めているのがパドレイグ・ハリントン。
昨年の全英オープンを連覇、続く全米プロ選手権も優勝し、今年のマスターズではメジャー3連覇がかかっているハリントン。メジャー4大会を全て優勝することを「グランドスラム」というのですが、今週に入って「Paddy Slam(パディ・スラム)」という言葉をいろんなところで見かけるようになりました(Paddyは「パドレイグ」の愛称)。

photo: flickr@mandj98
しかし、今年のマスターズはハリントンの3連勝以外に魅力的な話題が盛りだくさん。タイガー・ウッズの完全復活、グレッグ・ノーマンの悲願のマスターズ制覇、そして石川遼、ダニー・リー、ロリー・マッキロイのティーントリオ。
PaddySlamを耳にしたハリントンの友人、リー・ウェストウッドは、
「パディ・スラムってなんだよ。お前プロレスでも始めるの?」と冗談が飛び交うほどハリントンの存在感が薄れてしまっています。
本来であればハリントンのメジャー3連勝、そして「パディ・スラム」への可能性が一番の話題になるべきなのでしょう。これがタイガー、ミケルソンだったら大変な騒ぎになっていたことでしょう。
でもこれがハリントンの特徴なのでしょう。第一線から少し離れたところで誰にも注目されずに試合に出場し、気づいたら優勝してた・・・。実はこういう時のハリントンが一番不気味な存在なのです。
まだ記憶に新しい昨年の全英オープン。世間の注目はノーマンの復活優勝なるか(途中までデビッド・デュバルも入っていた)と大いに盛り上がり、最後に一番おいしい所を持っていったのがハリントン。気付いたら「そういえばハリントンは昨年の覇者だったよね」と・・・。
更に、続く全米プロ選手権でも同じような空気を流していました。2日目に「74」を叩いた後、
「苦しい一日だった」
「今週、準備万端のつもりだったけど、明らかに本調子からは遠いようだ」
「今週は全く集中できていない」
「全然ダメだ・・・全英オープンの『二日酔い』がまだ残ってるのかも」
と言った2日後には自身3つ目のメジャータイトルを取っていたのです。死んだフリをするのがうまいというか、ずる賢いというか、ハリントンにポーカーをやらせたらかなり強いと思います。
「相手は恐れる。それ以上に自分への恐怖心がある。結局はいつも自分との闘いなんだ」とハリントン。完全に自分の世界の中で自分と闘う選手なのですね。心の中ではタイガーが強敵だと思っていても、一切それを口にすることはないのです。
唯一タイガーについてふれた時も淡々と語った。
「タイガー、こういう舞台に来れば彼が取り上げられるのも当然。今までの実績を見ても、そして大きなケガから復帰してきたわけだし。素晴らしいストーリーだと思う。」
「だからといって木曜日朝になったら彼が僕よりいいゴルフができるということか?それは別の話じゃないか」
マスターズ優勝への意気込みを聞かれても、「今じゃなくてもいいと思ってる。自らそんなプレッシャーをかけることはしたくない」と記者泣かせの回答。
いつまでもマイペースなハリントン。そういう時こそ力を発揮できることを一番知っているのはハリントン自身なのでしょう。

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