ルーザーの中にいたグレート・ルーザー!1勝3敗でも米国のリーダーはミケルソンだった

「グッド・ウィナーになる以前に、グッド・ルーザーになれ」


ゴルフに限らず、勝者がいれば敗者もいるスポーツ競技ではよく耳にする言葉です。腹の底は煮えくり返っていたかもしれませんが、今回のライダーカップで負けた米国チームの面々は試合後に勝者を称え、そして勝者を支えた「13人目の選手(ギャラリー)」を賞賛していました。最終日のスタート前、1番ティグランドでスタートを待っていたスチュワート・シンクに向かって「彼(対戦相手のロリー・マッキロイ)の方が髪の毛多いぞ!」と罵声が飛ぶと、すかさずアメリカ人のファンが「彼(シンク)の方がメジャータイトル多いぞ!」と応戦。思わず笑ってしまったシンクは、ギャラリーに向かってキャップを取って頭を深々と下げていました。大爆笑するギャラリー。


「ゴルフの試合でああいう興奮を味わえたのは素晴らしいと思う。僕らはあれだけ騒がしく感情的なギャラリーの前でプレーするチャンスが滅多にない。彼らは欧州の選手を後押ししていたけど、この国のギャラリーは良いプレーには敬意を表す。ここにいる全員に敬意を表してくれる。...欧州チームが勝ちましたが、ギャラリーは全選手を後押ししてくれた。ゴルフのためにも素晴らしいことだったと思う」


グッド・ルーザーであること...。ギャラリーの掛け声はさておき、ライダーカップを振り返っていて試合以上に印象に残るシーンがありました。


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大会終了直後のチーム別記者会見。まず入ってきたのは米国チーム。


キャプテンのコーリー・ペイビンが冒頭に試合を終えてのコメントを述べ、司会役が


「では伝統に従って、選手一人ずつ一言もらいたいと思います。まずは、奥にいる...ハンター」


とメイハンから順に一言発言するよう指名。少し驚いたメイハンは、


「このチームの一員になれたことを誇りに思う...えーと...」


と泣き崩れるのを耐えながら言うと、


「絆の強いチームだった...」


と言い沈黙。涙をこらえるメイハン。これを隣に座っていたミケルソンが見かねてマイクを奪ったのです。


「皆このチームの一員になれて誇りに思っている。そして皆勝てなかったことについてはガッカリしている。我々はヨーロッパで勝ちたいという気持ちは強かったし、みんな精一杯戦った。...今日はみんな一生懸命プレーした。0.5点まで詰め寄ったけど、その0.5点は全体の28ポイントを見渡しても取れるところはあった。私自身も(負けた)3試合を振り返ると、その0.5点が取れる試合はあった。でも欧州チームは素晴らしいプレーを続けた。彼らのプレーに敬意を表したい」


と、負けたのはメイハン一人の責任ではなかったことを明言。


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via Golf Channel
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その後、とある記者が


「これはジム・フューリックとフィルに聞きたいんですが、これまでに2人は今回よりも大きなビハインドでライダーカップ最終日を迎えた経験があります。今日のような試合展開を振り返ると、こことここでポイントが取れていればと『たられば』が言えるかもしれません。今日よりも大きなビハインドを経験しているが故に、この敗戦を受け入れるのはそれだけ難しいですか?」


と、一見分かりにくい質問。暫しの沈黙の後、フューリックが「質問の意図が理解できなかったかも...」とミケルソンの方を見ると、


「えーと、残念ながら、俺は理解できてしまった」


と重い空気が流れる会場に笑いをもたらしていました。「いいね、フィル」とペイビン。


「そうだね、確かに受け入れにくい。なぜなら・・・」


と話し始めたのです。その後、スティーブ・ストリッカーに質問が飛ぶと、


「全ての試合で皆本当によく戦った。ハンターがどうこうではないんだ。一人の選手に全てがかかるようなシチュエーションを作るべきではないし、不運だった。一人一人がそれぞれの試合を振り返れば、流れを変えて足りなかった点が取れた場面はあったはず。ハンター一人に全てが圧し掛かってしまったことは不運だし、そうではないことを分かって欲しい。チーム全員が負けたという事実を受け入れなければならない。ハンターがこれを乗り切れるようにみんなが助け合っていく」


と自然とメイハンをかばう言葉が出てきました。そして次の質問に移ろうとした時、端っこに座っていたシンクが「俺も一つだけ付け加えてもいいかな...」と言い、


「欧米のツアープロに聞いて欲しい。『ライダーカップという大舞台で最後に試合を決定付ける選手になってみたいか?』と。その時点で半数はYESと言うだろう。ただし、心の底から本当にそう思っている奴は10%もいない。


「この男(メイハン)は、最後の選手として身を投げ出した。ここに座っている男は、自らその挑戦を受け入れた男の中の男だ。ゴルフで最もプレッシャーのかかる場面で、ハンター・メイハンはチャンピオンにふさわしいパフォーマンスを見せてくれた。素晴らしいと思う。ごめん、それだけは言っておきたい」


と、生中継で見ていて思わず涙が出そうになってしまいました...。近年、これだけ熱く、感動した記者会見はなかったかな...。その後、またメイハンに質問が飛び、言葉に詰まったメイハンを見かねてミケルソンがマイクを奪って


「よし、次の質問に行ってみよう。そこの真ん中の青いシャツ」


と、この会見を仕切り始めたのです。


もしかしたら、会見の前にペイビンが「負けたのは全員」と強調していたのかもしれまんせんが、この場の重苦しい雰囲気をかき消したのはミケルソンの「リーダーシップ」だったような気がします。


「まずは自らのプレーでリーダーシップを見せたかった」


と語ったミケルソン。今回のライダーカップでそれは実現できませんでしたが、敗戦チームの中に「グレート・ルーザー」の姿が垣間見えた気がします。


この壇上に上がっていた選手たちは年間を通してライバルとして戦っている間柄。でも今回の経験は、何年経っても強い絆として残ることでしょう。


そして2年後、この中の数名は「グレート・ウィナー」になることを目指し再び集結することでしょう。


頑張れ、メイハン!

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