初日を終えてみて、やはり全英オープンって不公平な大会だな~と感じた。横殴りの雨と強風の中で80を叩いてしまう世界ランク上位の選手(アーニー・エルス、ビジェイ・シン)がいると思えば、午後の比較的穏やかな天候ではロバート・アレンビーのような中堅選手が後半だけで4つスコアを伸ばして首位タイに立っている。全ては自然との闘い。それが「公平」と受け止められなければ、精神的にこのコースを攻略するのは無理なのだろう。
午後スタートだったグレッグ・ノーマンが一番うまくまとめてくれた。

photo: pga.com
「我々の組は抽選の運があったよね。それは間違いない。朝方出て行った奴らを見ていたら、哀れだったよ。でも『いや、俺もああいう日もあった。俺も運がない抽選に当たった時はあった』と考えなきゃな。全てはバランスが取れるようになっているんだ。そして運の良い時は、それを利用しなければいけないんだ」
ノーマンが言うとおり、この日、運を味方につけた選手が2人いた。共に過去には「運」(運命?)に見放され、大切なものを「かっさられた」ことのある選手。グレッグ・ノーマンとロッコ・メディエイトだ。

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全米オープンでタイガー・ウッズと一進一退の熱戦を繰り広げ、一躍ゴルフ界のヒーローになったメディエイト。前半5ホールで3つスコアを落とし絶望的かと思ったラウンドが、後半でバーディを重ねてくると、気付いたらイーブンパーに戻っていた。
そして18番、難しいラインを読み切りバーディパットが沈めた後、両手を広げ「知らないよ」といった惚けた表情で笑顔を見せた。1アンダーでロバート・アレンビー、グレイミー・マクドウェルと並んび首位タイでホールアウト。
土壇場でタイガーに全米オープンをかっさられたメディエイト。後半は3バーディ、ノーボギーと完璧な内容にも「説明のしようがないよ。なぜあんなことが起きたのか全くわからない」と油断はしない。表情力豊かで見ているだけでこっちまでが笑顔になってしまう。個人的にはそんなメディエイトに最後まで優勝争いをしてもらいたい。
先日も書いたが、最近、ノーマンは26年間共にした妻に100億円の離婚和解金を支払うよう裁判所から命じられたばかり。自身の財産の約3分の1を「かっさられた」ノーマンが、2度優勝している大会で燃えないわけがない。
53歳になったノーマンは終始パーを狙ったかのようなプレーだった。パー5の17番でチャンスにつけると難なくバーディでイーブンパーに戻した。昔のようなパワーに頼るスイングではなく、コンパクトな振りでショットメーカーになっていたのには少し驚いた。
18番のバーディパットが惜しくも入らず首位には並べなかったが、今年の散々な成績を考えると上出来すぎる内容だろう。今季はPGAツアーに3試合で予選通過は0回、シニアの大会で得た6,200ドルが唯一の獲得賞金だ。昨年に関しては1度も出場していない。
「俺はもうあまりプレーしないんだ。練習もしない。多分ゴルフよりテニスの練習量の方が多いよ。でも同時に、この大会には何か燃えるものを感じるんだ」と、1986、1993年の全英覇者は言う。
共に何か大きなものが手元から「かっさられた」2人。3日後、クラレットジャグが手中にあれば失ったものも小さく感じるのだろう。
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