昨年、PGAツアーコミッショナーのティム・フィンチェムは不景気でスポンサーをしてくれている企業のためにも1試合でも多く出場して欲しい、と選手たちに頭を下げていました。
もうちょっと明確に言っておけばよかったかもしれませんね。「アメリカ本土の」試合、と。
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photo: zimbio.com
今週のボブ・ホープ・クラシックは今年のアメリカ本土開幕戦。しかし、賑やかな雰囲気は全くなく、むしろ今年からスポンサー(昨年までのクライスラー)が消え、それと同時に選手も四方八方へと飛び去っていき・・・。世界ランキング上位35位までの選手が一人も出場しないという何ともお粗末な状況になってしまっています。
かつては伝統のある試合としてトッププレーヤーが揃って参加し、西海岸連戦を代表する試合でした。ツアー1年目の新人が出ることは稀だったのですが、今年のフィールドはというと2部ツアー「ネイションワイドツアー」とQスクールの上位成績者が32名も入っています。
ボブ・ホープのフィールドで最も話題になっているのがそこにアンソニー・キムが入っていないこと。キムは大会が開催されるカリフォルニア州ラキンタで高校時代を過ごし、一昨年のルーキーシーズンには出場可能な試合が少なかった彼を助けようと、大会側が特別枠を提供したのです。恩を仇で返すとは正にこのことで、キムは今週のボブ・ホープをパスし、欧州ツアーの試合で今季の初戦を迎えようとしています。
その欧州ツアーの試合がアラブ首長国連邦で開催される「アブダビ選手権」。同じ砂漠の大会でも地球の裏側のこちらの大会はビッグネームが揃っています。キムを筆頭に、
・ポール・ケイシー
・ジェフ・オギルビー
・カミロ・ビジェガス
・イアン・ポールター
・ヘンリック・ステンソン
・セルヒオ・ガルシア
・ロリー・マッキロイ
・J.M.シン
・マーティン・ケイマー
・クリス・ウッド
など
この中にはPGAツアーのメンバーも多く、彼らがPGAツアーが開催されている週にそれ以外の試合に出場する場合は協会から特別に許可をもらう必要があるのです。これは各選手年に3回という規定があります(米国出身でない場合は自国で行われる試合には出場できる特例がある)。
選手が与えられた特権を使っているだけと言ってしまえばそれまでですが、これだけ有力選手が流出してしまうのは誰も得をしない話。しかも今回「特別許可」を与えた選手は9名!1試合でこれだけの選手がツアーを離れるのはレアケース。ボブ・ホープの運営者からしてみれば、愚痴の一つも言いたくなるでしょう。
では、なぜここまでトッププレーヤーはUAEでの試合を選ぶのか?まず、アピアランスフィーがあります。これは欧州ツアーとPGAツアーの大きな違いでもあります。きっと選手によって額は違うはずですが、出るだけで賞金をもらえることは彼らにとっては大きなインセンティブになっているのでしょう。
また、ボブ・ホープ側にも問題があるといえばあるのでしょう。一つにはフォーマット。アマチュアを同じ組に入れてラウンドするという異例な形式は、見ている方としては面白みはあるかもしれませんが、下手なアマチュアゴルフに5日間(そう、この大会は5ラウンド開催!)も付き合わされると思うだけで避けてしまう選手もいるはず。全く気にならないプロは出てくるでしょうけど、繊細な人には難しいのでしょう。
今年からスポンサーがなくなったのも打撃なのではないでしょうか。スポンサーがいなくなれば、選手にとってインセンティブは減ります。お金が消えるとトッププレーヤーも集まらなくなり、民族大移動のようにトップの選手たちは金の臭いがするところに逃亡します。フィールドが弱くなれば観客も減り、テレビ中継も全く注目されず、そしてその悪循環が来季に繋がっていく・・・。この循環は一度始まってしまうと抜け出すのは困難。
不景気でスポンサーが離れたことに始まり、今年のボブ・ホープ・クラシックはよろしくない悪循環にすっぽりとハマってしまっている感じです。先日、大会開催の前週にスポンサーが見つかったトーレーパインズの大会のように奇跡的な救世主が現われてくれるか、はたまた強力なコネを持った営業マンが必死になってスポンサー回りをしないとこの大会の存続が危ないような気がします。
最後にスチュワート・シンクがこの件に関してこう言っています。
「アピアランスフィーがもらえるところでプレーする選手を責めることはできないと思う。我々(PGAツアーメンバー)はアピアランスフィーをもらう機会は滅多にない。ケニー・ペリーがいい例。彼は(欧州ツアー参戦のため)カタールに行く。彼は生涯ずっとアメリカ国内で貢献してきて、そのような金額を貰ったことはない選手。彼が今年行って小額のお小遣いを貰うことに『ダメです』って本当に言えるか?
「最近はスポンサーを見つけるのがとても困難な時代。そのソリューションを知ってる人なんているのだろうか・・・」
この言葉の裏には
「不景気を理由に嘆くより、自分の力で生きていくしかない」
というニュアンスがあるのだと思います。
ある意味、正論だと思います。

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