【連載:スロープレーについて考える】その2:ケビン・ナ&キャディの証言

はい、早速その2です。まずは、ケビン・ナ(とキャディのケニー・ハームズ)の自己分析から。


>連載の経緯はこちら


ザ・プレーヤーズを見ていた方なら、最終日最終組でプレーできるまでスコアを伸ばしていたケビン・ナのプレーを目撃したはず。


例えば、こんな動画も出回ってます。



そして、この大会に限らず、彼のプレーを見ていた方なら一度は彼のショット前のルーティンに苛立つ、または疑問を抱いた人もいるはず。


アドレス、ワッグル、ワッグル...ワッグル、アドレスほどく、ヤーデージブック出す、アドレス、ワッグル、ワッグル、ボールの上を素振り、ワッグル...


「ぉぉぉおおい!またかよ!」僕は何度も椅子から転げ落ちそうになりました。


そもそもなぜナはここまでショットに時間がかかるのか?本人の話だと、昨年のマスターズからスイング改造を行っていて(現在進行中)、アドレスでの身体のバランスを以前より左足(前)よりに置き、テークバックでクラブをもっと上げるようにしているのだとか。


土曜日のラウンド後に詳しく触れていました。


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■セットアップからショットまでのルーティーンについて
「セットアップした時の身体のバランスが今までと全く違うから違和感があるんだ。ワッグルしてその違和感を失くそうとしている。ワッグルも小さく、ハーフ、小さく、ハーフ、そして引き金を引く!という流れになるはずなんだけど、それがしっくりこないんだ。小とハーフがセットになってなきゃいけないから、4回でできなければ6回、それがダメなら・・・とにかく頭の中はパニック状態なんだ」


■オフィシャルから警告を受けたにもかかわらず好スコアを残せたことについて
「神に感謝してるよ(笑。きついよ、特に警告された後に時間を計られている中、最初は1分、そして2回目からは40秒で打たなければいけない。余計なプレッシャーがかかる。ましてや、世界中の人たちが見ていると思うと更にプレッシャーを感じる。でも、スイングは悪くないから、自分のスイングを信頼して打てば理想のところに打てている。パッティングもうまくいってる」


■スロープレーを批判する人たちも多いことについて
「すごいストレスになっている。(ラウンドが終わると)とても疲れてる。試合で良い結果を残すことだけじゃなく、同時に頭の中で自分自身と闘っている。ラウンドで一回もアドレスを解かないように心がけている。言われなくても分かってる。猛烈に批判されてることくらい。テレビ、ツイッター、ギャラリーの人たちは俺がアドレスを解いて一歩下がるのをどれだけうんざりしているかくらいは分かってる。でもそういう声には『努力してる』としか言えないんだ」


■周囲の選手の反応について
「練習ラウンドでも『空振り』はするし、後ずさりもする。練習場でもやる。一緒にラウンドする選手たちは、俺の『空振り』を見て笑う奴もいれば、初めての奴らは目が点になってるよ(笑)」


■スロープレーとルーティンに付き合わなければいけない同伴選手について
「(土曜日)6番ホールあたりで、アドレスしてルーティンをやっても打てなかった。ワッグルを6回やっても、また後ずさりしてしまった。その時、(同伴の)ザック・ジョンソンには言ったんだ。『打とうとしてるんだ』って。彼は『お前のペースでやればいいよ。良いプレーしてるんだし、続けろ』と言ってくれた。ザックとは仲もいいし、理解者の一人。本当に俺の苦しみを分かってくれるのはセルヒオ(ガルシア)くらいだろうけね。彼も同じ経験をしてるから(笑)」
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「フルスイング・イップス」とでも言うべきなのか・・・。もちろん、これだけ時間をかけて結果が伴っていれば良いが、一度リズムが狂うと悪循環に陥ってしまう。それが日曜日の最終ラウンド。本人曰く、この日、アドレスを取った後に一部のギャラリーからは


「打てよ!」


「早く引き金を引け!」


と罵声が飛んでいたとのこと。キャディのハームズ曰く、


「5番でボギーを叩いて、6番ホールに来た時、ギャラリーにいた大馬鹿野郎が『お前に2,000ドルかけてるんだからビビってんじゃねーぞ!』と言った奴がいた。ゴルフはエチケットのスポーツだ。バスケットボールでもないし、アメフトでもない。品がなさすぎる。誰に向かってもそんなことを言うべきではない。・・・(ナ)はわざとやってるわけではない。彼以上に罪悪感を持っている人はいない。それだけは言える。早くプレーするために可能な限りのことをやっているんだ」


と怒りを爆発させていました。さらに13番のティショットを池に入れた直後、スポーツの敗者に送られる有名な歌「Na Na Hey Hey Kiss Him Goodbye」になぞって


「ナナナーナ、ナナナーナ、ヘイヘイヘイ、グーバーイ」


という歌声まで聞こえてきたのだとか。



最終日、4オーバーで終えたナは感情を抑えながらラウンドを振り返っていました。


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■ただでさえ勝つことは難しいのに、ギャラリーの罵声も入り辛かったのでは。
「仕方がない。俺のショット前のルーティンは大きな課題だ。もっと早くプレーもしなければいけない。でもアマチュアに俺らが感じているプレッシャー、精神的にどれだけ辛いものか、どれだけ苦しい闘いかは分かりようがない。あれだけ外野がうるさかった中で俺はよくやったと思う。よく闘った。この経験から得られるものがあったこと、そうポジティブに捉えるしかない」


■今日聞こえたヤジの中で最も傷ついたのは?
「アドレスに入って・・・アドレスに入ったら、静かにしていてほしい。話しているのが聞こえる。『早く打て』とか『引き金を引け』とか。それが聞こえたから俺も後ずさりしてしまう。これは辛かった。でも今日はマットが素晴らしいプレーをしていた。彼が勝って当然だ」


■9番で怒っていたようだが
「怒ったというより、ギャラリーにがっかりした。多くの人は声援を送ってくれて、素晴らしい人たちだったけど、何人かは酷いヤジを・・・。打とうとした時にヤジを飛ばされて、後ずさりしたらブーイングされた。『お前らのせいで後ずさりしたんだぞ』と言った。打てなかったから一歩下がったわけではない・・・でもそれも仕方ないな。たくさんの人に後押ししてもらって、すごく感謝している。課題はたくさんある。これからも努力し続ける。いいプレーができてるから、今年はどこかで優勝があると思う。


■スロープレーの警告の後は焦りながらのプレーになったのか
「正直、とにかく早くプレーすることだけを心掛けていた。世界中が見ている中で、とにかくファストプレーしようと。(前半は)ショットとショットの間はダッシュして、マットの40ヤードくらい先を歩いてた。少しでも早く自分のボールについて余計な時間を使わないようにした。バックナインに入って(14番で)警告が出てからは歩くペースも落として、マットと話しながらラウンドした。キャディだけを先に行かせてヤーデージの確認をさせた。マットは『今日は全然話せてないな』と言っていた。


「俺はマットに言った。『俺はペースを乱さないためにも走るし、早くプレーするよう協力する』と。したら彼は『キャディとも話していたんだ。スロープレーで俺のペースが乱れないように気を使ってくれてありがとう』と。理解してくれて嬉しかった」


■これまでここまで酷いヤジを受けたことはあったか
「いや、ないな。でも、正直なところ、(ヤジられて)当然だと思う。本当にそう思ってる。ただ、フェアかと言われたらそうではないと思う」


■今日はプレースタイルを変えたことが76というスコアに繋がったか
「それは急いでプレーをしたということ?そうだね、それは少しはあるね。でも、それ以前に俺のゴルフは良くなかった。言い訳のしようがない。・・・悪い方向に行き始めて、さらに早くプレーしようとしていた。それじゃスコアはまとまらないよ」


■課題克服のための具体的プランは
「ワッグルをやめようと思う。ボールの後ろで少しクラブを前後に動かすだけにしようと思う。でもこれには時間もかかる。練習も必要だし、試合でやってみないといけない。ワッグルを取り入れるのはやめようと思うけど、これからは自分との闘いになる」
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スイング改造がきっかけでルーティーンが安定しないケビン・ナ。自分がきっかけを招いたとはいえ、同伴選手に迷惑がかからないようショットの間にダッシュする選手はなかなかいないのでは。。。


では、今回話題に挙がったスロープレーに関して、他の選手たちはどう思っているのか?(つづく)


■最終ラウンド後のインタビュー

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