どんなスポーツにも「シルバーコレクター」と言われるアスリートはいる。素質はありながら、最後のワンパンチが足りずにトップに君臨できずに万年2位に甘んじてしまう。例えば、競馬でいうとステイゴールドという馬がいたし、サッカー界にはドイツ代表のバラックが有名だ。
米国のゴルフ界にもタイガー・ウッズ、ビジェイ・シンらのお陰で、長年銀メダルに止まっていた選手が数名いる。先週のPGAツアー「トラベラーズ選手権」を制したのはその「シルバーコレクター」代表ともいえるスチュアート・シンクだった。

photo: pgatour.com
11年前にプロデビューしたシンク。ルーキーとしていきなり優勝した大会がこの「トラベラーズ選手権」だったのは何かの縁だったのかもしれない。今季はここまで絶好調で、2位が2回、3位が1回とトップ10に6回入っている。FedEx Cupポイントランキングもタイガー・ウッズ、フィル・ミケルソンに次いで3位まで浮上してきた。
ルーキーとしてツアーの新人賞に選ばれ、その将来性が期待されるも、その後は最後の最後で躓いてしまう癖が付いてしまっていた。「僕が最後にスコアを崩す選手だという周囲の声は耳に入っていたし、そういう評価をされてもおかしくないと思っていた。自分でもそう思っていた」と振り返ったシンク。トラベラーズ選手権最終日は2打差をつけてスタートしたものの、最終日を首位で迎えた過去9回で優勝できたのはわずかに1回だけ。「嫌な予感」がしていたのはシンクだけではなかっただろう。
またしても「シルバーメダル」に終わるところだった。1打差のリードを保ち、迎えた最終ホール。ティショットを大きく右に曲げ、2打目もグリーン奥に外して絶体絶命のピンチ。しかし、3打目のアプローチを見事に寄せて1メートル弱のパーパットを沈めてプレーオフ進出を免れた。「70センチのパットでさえ、ど真ん中に決められたことはとても気持ちが良いものだった」と試合後、胸を撫で下ろした。
個人的には、シンクのように万年勝てないと言われている選手が優勝することは非常に嬉しいし、PGAツアーにとっても彼のような人気のある実力者が活躍することは長期的に見ればプラスに働くはずだ。日本ではなかなか取り上げられることはないが、タイガーに次ぐNIKE GOLFの看板選手の一人でもある(他にはトレバー・イメルマン、崔京周、ローリー・サバティーニらもいるが)。地味な印象は否めないが、それでもいつもはタイガーの影でツアーを支えているシンクのような紳士的な選手が勝つと、どこか救われた気がする。
タイガーがケガで長期戦線離脱した今、シンクにとって大きなチャンスが回ってきた。年間王者を決めるFedEx Cupの優勝候補にも浮上してきた。「金メダル」を獲得したシンクの今季の闘いぶりに注目してみたい!

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