タイガー・ウッズと共にした年数12年、計63勝うちメジャー13勝。今月、タイガーとのタッグを解散したスティーブ・ウィリアムズはこのタイミングに解雇されたことを悔やんでいました。まだやり残したことがあったのか、それとも、タイガーが欠場している間は「無給」だったため、ここまで待たせておいて今さら・・・という気持ちだったのか。
スティーブってどんなキャディだったのか?強面だったけど、本当はどんな人なのか?彼がいなければタイガーはあそこまで成功していなかったのか?
昔の記事を検索していたら非常に興味深い記事に遭遇。2009年、膝のケガから復帰する直前(マスターズ前)に公開された記事で、まだ不倫騒動の前の話。
この記事の中にある言葉やエピソードがスティーブ・ウィリアムズというキャディ/人間の核心に迫っていたような気がします。
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photo: zimbio.com
■2000年全米プロ選手権最終日。メジャー3連覇がかかっていて、ボブ・メイが一打差でリードで迎えた17番ホール、第2打。
タイガー:「スティービー、どれくらい?」
スティーブ:「90ヤード。ロブウェッジだ」
実際はピンまで95ヤードあった。
「(2004年から)ハンク・ヘイニーに見始めてもらう前まで、タイガーの距離感は課題の一つだった。彼は同じクラブで3回連続同じ距離を打てなかった。だから、俺はヤーデージをごまかして彼に伝えたこともある。彼のスイングの調子を見て、本当は95ヤードのところを85ヤードと言ってみたりした。ある年、ベイヒルでの試合では一度も正しい距離を教えなかった。それでも勝ったんだ」
■キャディとしての目標
「俺の目標は選手の結果をプラスに変えていくこと、そこに一石を投じ影響を与えて、そしてその選手のレベルを上げていくこと」
■趣味のカートレーシングで指を切断するケガを負ったこともある。
「それもレーシングの要素の一つ。クラッシュはするもの。ゴルフと一緒だ。ミスは必ず出る」
■オフはニュージーランド中を旅行するとのこと。
「キャディをしていない時はツアーは追いかけてない。賞金ランキング3位が誰か、先週誰が勝ったかなんて知らない。どうでもいいこと。知っておく理由は?俺の仕事はタイガー・ウッズにベストを尽くすこと。たまに恥ずかしい思いをしたこともあるよ。タイガーが一緒に回ってる選手が先週優勝したことを知らなかったりもする。でもそのオンとオフのバランスがあるから、自分もフレッシュな気分でキャディ業ができている」
■80年代後半にバッグを担いだイアン・ベーカー・フィンチ
「俺は(グレッグ)ノーマンでも(レイモンド)フロイドのような選手ではなかったけど、スティーブの乱暴な、ニュージーランド人特有のトゲのある性格のおかげで、たまに自分が無敵なんじゃないかと錯覚する日もあった。確実に伝染していた」
■キャディとしての心得
「いつ自己主張すべきか、いつ遠慮せずに話すべきか、はたまたいつ冗談を言うべきか。キャディとしてそのタイミングは心得ておく必要がある。全員に通用するテクニックではないかもしれないが、俺とタイガーのコンビはそれがピッタリはまってる。絶対にやってはならないのは黙ってしまうこと。黙るということは、大概の場合、緊張している証拠だからだ」
■2008年全米オープン最終日。出だし1番ホールをその週3度目のダボを叩く。
スティーブ:「おい、あまりいいスタートじゃなかったな」
タイガー:「Fuck You。俺はこの試合を勝つ」
「2008年全米オープン。一つの試合を勝つことにあそこまで闘争心をむき出しにした選手は-これまでのタイガーも含め-見たことがない」
■2008年全米オープン最終日、18番ホール。ロコ・メディエイトに追い付くにはバーディしかない状況。ピンまで101ヤード、グリーン右手前にはバンカー。スティーブは60度のウェッジで打つことを押した。タイガーは拒否した。
タイガー:「そんな距離は出ない」
スティーブ:「大丈夫。アドレナリンが流れてる。キクユ芝だ。ボールはうまく掴まる。お前はこの距離を打てる。信じてくれ」
結果はご存じのとおりパーオンし、バーディパットも沈めた。
「彼がどれだけあの試合を勝ちたかったかは知っていた。半端じゃない痛みの中でプレーしていた。ラウンドが終わってホテルに戻ったら、部屋の床に倒れて3時間起き上がれなかった。あの場面で彼に言ったアドバイスが今までで最も誇れる瞬間だ。そして、彼が試合後にかけてくれた言葉は頭の中で頻繁にエコーする。でもその言葉が何だったかは絶対に口にしない」
■過去にはカメラマンのレンズを蹴飛ばしたり、カメラを取り上げたり、タイガーを守るために体を張ってきたスティーブ。ゆえに、一部からは批判されることもあったし、近寄りがたい「乱暴」なイメージを与えた時もあった。
「『凶暴』というイメージを持たれてるかもしれないけど、俺の仕事は他の150名の選手と均等な、公平な条件をタイガーに整えてあげることだ。我々にはどの選手よりも多いフォトグラファー、プレスが付いてくる。俺を批判する奴に言いたいのは、練習ラウンド、プロアマ、その週の全ホールを付いてこい、と。それをしてから初めて俺を批判しろ」
■その他
「俺の仕事のNo.1プライオリティーはタイガーの調子がどうなのかを感じ取ること。自信があるのか否か。気分よくプレーできているのか否か。練習グリーンでパットを外していて、本調子ではないと感じたら気さくに声をかけるかもしれない。笑わせて、リラックスさせる。ヤーデージ?そんなのは誰だってできる。キャディという仕事はもっともっと深い」
「自分の人生における哲学を一言で言うとしたら、それは『Make a difference』(訳:影響を与える、人生を変える、少しでも良くする)だと思う。年の功...かな。キャディをしている時でも、タイガーのプレーでも、スティーブ・ウィリアムズ基金活動でも、癌との闘病でも、カートレーシングでも、何をやっている時でも俺はそこで接する人に影響を与え、その人の人生を少しでも良くしたいんだ」
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Make a difference ・・・。この言葉、とても響きました。
現在47歳のスティーブ。55歳までにはリタイアすることを表明しています。これほどまでに誇りと執念と情熱を持ってやっていたとは・・・名キャディです。
タイガーを守るために捧げた12年。
お疲れ様でした。
